目次
■導入:車がなければ「人権」がない街、L.A.
アメリカ、特にここロサンゼルスと言ったら車社会です。車がなければ生活すらままならない、就職もできない、いわば「車=人権」の街。 渡米前は完全なる東京ライフを満喫し、車とは無縁の生活を送っていた私ですが、一応、実家のある東北にいた頃は車通勤をしていましたし、東京に出てからも帰省のたびに運転はしていました。つまり、何が言いたいかというと、ペーパードライバーではありません。
しかし、ビビりな私は渡米早々、アメリカの洗礼に震え上がっていました。 車線は日本と真反対。ハイウェイ(高速道路)に一歩入れば、周囲の車は映画『ワイルド・スピード』ばりの爆速。おまけにウィンカーも出さずにグイグイ割り込んでくる。
「カリフォルニア州の免許制度とは、ナーンて。皆様のためになる必要書類やルールを解説しようと思いましたが、そんなお役立ち情報はすべて却下させていただきます。 それよりもこれを聞いてください。私の、血と涙の実体験を!!」
■筆記試験編:まさかの5連敗
カリフォルニアの筆記試験(確か39ドル※当時)は、ありがたいことに日本語が選べます。 私も当然日本語を選択。DMVから日本語のテキストを取り寄せ、2回ほど流し読みし、ネットのオンライン問題集もこなして「楽勝でしょ」と挑みました。
結果:3回連続で落ちました。
3回落ちると、あんた。容赦なく「再受験料」を絞り取られるのよ。 あまりのショックにビビって次の受験まで間を空けていたら、受験料上がって45ドルを請求されました。そして通算4回目の受験。
結果:落選
なんなのよ。落ち込むじゃないのよ。そして、5回目に自宅でのオンライン受験に挑戦(カリフォルニアはオンラインで受験できます)。ところが、今度はPCの操作画面が謎のバグを起こして強制終了。「ちょっと待て!これはシステムエラーよ!私はまだ4回しか落ちてないわ!」とDMVの窓口に直談判(監査通告)しに行くハメに。 そしてDMVのパソコンで決行した通算6回目(私の中では5回目。もう数えたくもない)。 私は直感で「日本語の翻訳のニュアンスがおかしいのでは?」と睨み、あえて『英語』で受験してみました。
そしたら、なんと合格。 やったーーーー!!!(最初から英語で受ければよかったのよ!!)
■実地試験編:ロナルドの誤指導と、まさかの3連敗
さあ、お次は恐怖の実地(路上)試験です。 YouTubeで試験コースを確認し、夫のロナルドを助手席に乗せて練習を重ね、いざ出陣!
1回目:不合格。
敗因はロナルドです。住宅街の制限速度エリアで私が慎重にノロノロ走っていたら、助手席のロナルドが「ノロノロ走るな!もっと早く行け!早くいかないと試験官に注意されるぞ!」と横から余計な指示を出しやがったのです。いいえ、住宅街はノロノロ走らないと減点(コンプライアンス違反)なのです。 2度とロナルドの言うことなんか信じないと心に誓いました。
2回目(追加料金9ドル):不合格!!
まさかの連続リジェクト。渡米後のあらゆるストレスが脳内で大爆発し、私はDMVの駐車場で号泣。ロナルドはオロオロしながら「チャコはできる人だよ!大丈夫だよ!」と励ましてきましたが、火に油です。焦ったロナルドは、私にガチのプロのドライビング・インストラクターを雇ってくれました。
そのプロと猛練習し、満を持して挑んだ3回目(追加9ドル)。
なんと、また落ちました=========!!!!!
■大逆転編:諸悪の根源は「場所(DMV)」だった
プロに習っても落ちた瞬間、私の監査人レーダーがピキーンと反応しました。 原因は私の運転技術ではない。「試験を行うDMV(場所)の監査方針がバグっている」のだと。
名前を出してやります。私が3連続で落とされた呪いの地、それは『Thousand Oaks(サウザンドオークス)』です! ロナルドが「あそこは空いてるから」という理由だけで連れていかれた街ですが、あそこは白人の居住率が高め。 (ウェイクカルチャー全盛の現代アメリカでは声を大にして言えませんが)あいつら試験官、「アジア人の女は運転が下手だ」っていう強烈な偏見の目で最初からスコープを絞って減点してきてたんじゃないの!?
3回落ちたので、ルール通りまた「筆記試験からやり直し(45ドル)」という生き地獄。 私はネットの口コミ(監査ログ)を徹底的にリサーチし、今度はDMVの場所を『Winnetka(ウィネッカ)』へと変更しました。
結果、筆記も実地も、まさかの一発合格!!! しかも実地試験は、驚異の「減点ゼロ」のパーフェクト達成です!!! ほら見なさいよサウザンドオークス!!私の運転、完璧じゃないのよ!!
■エピローグ:Winnetka万歳、そして37ドルの「おにぎり」
こうして血を吐くような思いで手に入れた免許証ですが、なんと私、今年(2026年)になって早々に免許証を紛失するという快挙を成し遂げました。免許証っていうか、財布ごと無くしており、グリーンカードも紛失していて、運転免許証の再発行なんかできるのだろうかと不安でいっぱいになる私。
青ざめながら再び必要書類をかき集め、聖地・WinnetkaのDMVへ。私の不安はよそに窓口で対応してくれたおじさんは驚くほど愛想がよく、私のパスポートを見るなりこう質問してきました。
おじさん:「君、日本人?ねえ、おにぎりってさ、三角と丸、どっちが正しい形状なの?(興味津々)」
面倒な手続きの最中に、まさかのフードカルチャーに関する諮問(しもん)です。私が「うーん、どっちも正解だし、どっちでもいいのよ(笑)」と適当に受け流そうとすると、おじさんの目がガチになりました。
おじさん:「いや!本来はどうなんだ? 歴史的にはどっちがオリジナルなんだ!?」
なぜDMVの窓口で、おにぎりの考古学的なファクトチェックを求められているのでしょうか。おじさんのあまりの熱量に圧された私は、「……丸、かなぁ……?」と根拠ゼロの回答を脳内から出力しました。
その瞬間、おじさんの脳内で勝利のファンファーレが鳴り響きました。
おじさん:「ほら見ろ!!!!!」
おじさんは大興奮で立ち上がると、はるか遠くのデスクに座っていた同僚の女性職員を大声で呼びつけました。
おじさん:「ヘレン!!ちょっとこっち来い!!!」
業務中に何事かと怪訝な顔で近くにきたヘレンさん。おじさんは私に再度「おにぎりは、丸と三角、どっちが本来の形?」と質問してきます。 私が再度、苦笑いしながら「……まる?」と答えると、おじさんはヘレンさんに向かって、これ以上ないほどの特大デカドヤ顔を炸裂させました。
おじさん:「ほら見ろーーーーー!!!!(大勝利)」
呼び出された挙げ句、DMVにおける「おにぎり論争」に完全敗北したヘレンさんは、一言も喋らず、思いっきり不貞腐れた顔のまま無言で自分のデスクへと帰っていきました。
おじさんは、ネット情報による必要書類も見ることなく、パスポートの確認だけでソッコーで仮免許を発行してくれました。神対応!!(でも再発行料37ドルはしっかり絞り取られました。Winnetka万歳!!)
- 免許取得にかかった総額:184ドル+インストラクター代 (※一発合格なら、わずか39ドルで済んだはずの戦いです)
本当に、踏んだり蹴ったりのアメリカ生活ですが、Winnetkaのおにぎりおじさんの笑顔に免じて、私のDMV内部監査はこれにて「クローズ」といたします。

コメント