財布紛失・生還神話編

仕事

【日米生還神話】ビバリーヒルズのラグジュアリー面接で大爆死した帰り、財布を無くした話~期限切れグリーンカード紛失の絶望~

■導入:新参者に差し伸べられた、ビバリーヒルズへの蜘蛛の糸

アメリカに来てから、数十通規模でレジュメ(履歴書)を送りつけているものの、面接(オーディション)の土俵にすら上がらせてもらえないアタクシ。 日本では何を隠そう伝説の「就職氷河期」をサバイブ(間違って「栽培部」って打ち込んだわ)した無敵の世代。数十通くらいでへこたれるもんか!

…..と虚勢を張ってみたものの、中年で、異国でゼロからのやり直しはかなりきつい。……これ、想像の5000倍くらい、精神的キャッシュフローにガタがきます(白目)。そんな暗黒の就活ロードを彷徨う私に、ある日、救いの手が差し伸べられました。

日本時代からの大親友の一人、自称アゲマン、ルミ子(仮名、名前の由来はルミ子が瀬戸内海出身のため。小柳ルミ子嬢『瀬戸の花嫁』からきています。昭和歌謡ガイドライン準拠)。彼はアメリカ人の旦那様を持ち、在米10年以上の大ベテランです。そしてなんと、その旦那様が、私の大好物である「ラグジュアリーブランド(超高級アパレル)」を扱うお仕事をされており、そのコネクションでセールス職の面接をアレンジしてくれたのです!

アメリカは、言わずと知れた超絶コネ社会。コネがあるだけで、新参者の私でも一気にチャンスのゲートが開きます。 面接の舞台は、ロサンゼルスの象徴、日本の表参道を彷彿とさせる洗練された街、ビバリーヒルズ。 私は「元金融監査人」としてのプライドを胸に、ワクワクと緊張を抱えてラグジュアリーな戦地へと赴きました。

結果は、文字通りの大・惨・敗。

圧倒的な英語力不足。あろうことか面接の場で「ロールプレイ」まで要求されたのです。 (※『ロールプレイ』という響きだけで、一瞬いやらしい妄想に脱線しそうになったのは私だけでしょうか?) 結果、撃沈。英語で「1本2000ドルのパンツ」の魅力を売り込むなんて、私には1ミリも不可能です。というか、たぶん日本語でも無理です。 コネで面接の切符はもらえても、採用は店長の裁量。私は「絶対に戦力外」と判断されたに違いありません。チーン。

■発生:上の空のガソリンスタンドと、不法投棄

面接の帰り道、私はルミ子に電話をかけ、その散々な面接内容を思いっきり愚痴り散らかしていました。 だべりながら、近くのガソリンスタンドへピットイン。 しかし、なぜかガソリンのノズルを差し込んでも、一滴もガソリンが出てきません。角度を変えてもダメ。

「ちょっと待って、これどうなってんの?」 ルミ子と通話中の携帯を、私は車のボンネットへポイと置きました。さらに、脇に挟んでいたお財布も、一時的な避難場所として『車の屋根(ルーフ)』へ不法投棄。 それでもガソリンは出てきません。ついに面倒くささが限界突破した私は、 「あーもう、ガソリンは明日にするわー!」とルミ子に告げ、ボンネットの携帯だけを掴んで車に乗り込み、そのまま自宅へ向かって爆走したのです。

数時間後、翌日のバイトの準備をしている時に、私は血の気が引く音を聞きました。 「……財布がない」

そう、皆様お気づきですね。私はビバリーヒルズの絶望の残尿感を引きずったまま、財布を車の屋根に載せたままロサンゼルスの公道を突っ走ってしまったのです。

■地獄の潜入捜査:期限切れグリーンカードという最大の爆弾

すぐにロナルド(解雇後自営業奮闘中)を拉致し、ガソリンスタンドへ急行。 窓口の店員に声をかけましたが、英語が全く通じないラテン系の方。携帯の翻訳アプリを駆使して「財布の落とし物は!?」と迫るも、「届いてない。明日ビデオで確認できるかもだから、また来て」とのつれない回答。帰り道、目を皿のようにして道路を捜索しましたが見つかりません。とりあえず、すべてのクレジットカードと銀行口座を凍結(ロック)しました。

翌朝も早朝から捜索を続けましたが、成果はゼロ。 ここで、最大の懸念事項が頭をもたげます。免許証(※WinnetkaのDMVで即日仮免許を発行してもらい一安心。再発行の『おにぎりヘレン召喚事件』は過去記事参照)はいい。問題は、「グリーンカード(永住権)」です。

実は私のグリーンカード、今年の1月でとっくに期限が切れています。 例に漏れずアメリカのお役所仕事のせいで更新手続きが絶望的に遅れており、現在は「有効期限を48ヶ月延長します」という政府からのペラ紙のレター(通知書)だけで、かろうじて身分を証明している状態。 つまり、私が失くしたのは「とっくに期限が切れたカード」なのです。 ネットの監査ログ(情報)によると、紛失時の再申請には、更新とほぼ同じ大量の書類と高額な費用が必要らしく、「もし今から申請し直したら、また何年も待たされるの!?」「私、これじゃ日本に帰れないじゃないの!!」と、脳内はパニック寸前でした。

さらに、悪用を防ぐために警察へポイ捨て…ではなく「紛失届(ポリスレポート)」をオンラインで提出しようとするも、システムのバグなのか「紛失」と入れただけで「盗難」のページに強制ジャンプ。 財布の価値として100ドルと書けば、警察から「クレカに金銭的価値はないので別枠で入力し直せ」と非情な差し戻しメール。レポート1枚すらまともに進みません。

■奇跡の結末:ジャポネ!グリーンカード!

グリーンカードの不安を抱えたまま、私は生きた心地がしない状態で、翌日もバイトへ赴きました。 「どうしよう、実家の母に何かあっても、これじゃ日本へ緊急監査(帰省)に飛ぶこともできない……」

絶望のどん底で帰宅すると、リビングのソファでロナルドがニヤニヤしながらこう言ったのです。 ロナルド:「チャコ、ちょっと部屋に行って、自分の机の上を見てごらんよ!✨」

部屋へ駆け込み、デスクを見た私の目に飛び込んできたのは…… 紛れもない、私の財布でした。

中身を確認したところ、細かい小銭とゴールドカード2枚(※速攻で止めてあるのでただのプラスチックのゴミです)は見事に抜き取られていましたが、その他の書類、そして私の命の綱である「期限切れのグリーンカード」は無傷で生還していたのです!!!

なんとその日、我が家に1組のメキシコ人ファミリーが車で乗り付け、財布を届けてくれたというのです。 ロナルドが玄関に出ると、娘さんらしき女の子が「ここに女性は住んでいますか?」と尋ね、後ろでお母さんらしき女性が、 「ジャポネ!ジャポネ(日本人)!!グリーンカード!!!」 と、必死の形相で叫んでいたそうです。

ロナルドが「ああっ!チャコのことだ!」と叫ぶと、お母さんは安心したように財布を渡してくれたとのこと。 実は私、日本でも過去に5回ほど財布を落としていますが、中身を含めて100%の確率で生還させてきた「チャコの奇跡(日本では数十円しか入っていませんでしたが)」の保持者です。まさか、ここ治安の悪い銃社会アメリカでも、その生還神話が継続するとは思いませんでした。

■監査報告まとめ

拾って、わざわざ家まで届けてくれたメキシコ人ファミリーの優しさに、全私が涙しました。アメリカ、まだまだ捨てたものじゃありません。この国で耐え抜いてきた甲斐があったというものです。

その後、警察へのポリスレポートを「盗難:小銭・ゴールドカード」へと速やかに修正(アップデート)し、本件のインシデントは無事にクローズとなりました。

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