前回、アメリカの狂った歯医者システムから逃亡し、すきっ歯で太平洋を渡ったお話をしましたが、アメリカの医療バグはこんなものでは終わりません。
今回お届けするのは、私がアメリカ生活のストレスで本格的にメンタルを病み、現地の精神医療に突撃したときのお話です。
英語で精神相談という無謀な筋トレ
環境の変化や家族間のモヤモヤ(詳しくはこちらを参照)が積み重なり、ついに私のメンタルが「これ、プロに相談しないとやばいわ」というレベルまで削られてしまいました。
夫のロナルドに相談すると、例のごとく「いい保険だから!」の一点張りで、保険会社のリストから適当に選べと言われます。
有益なアドバイスは一切くれないので、「女性の先生がいい」「できればアメリカ人じゃない方がいい(少しは移民の気持ちがわかるかも…?)」という私の消去法的な希望だけで、なんとか一人の先生を選び出しました。
ところが、いざ診察が始まって気がつきました。
「待って、英語で精神相談って、何の超ハードな筋トレよ!?(爆笑)」
日常会話ですら必死なのに、自分の心の奥底にあるドロドロした感情や、人間関係の複雑なニュアンスを英語で説明しろなんて、もはや無謀の極みです。
しかも、担当の先生は多分ラテン系なのですが、アメリカ生まれっぽくて英語がゴリゴリのアメリカ風ネイティブ。最初からコミュニケーションの壁がエベレスト級にそびえ立っていました。
精神科医のリアルと、まさかの「ストライキ」による神隠し
なんとか必死に話を一通り聞いてもらったのですが、現地の精神科医(MD)の対応は私の想像とは少し違っていました。
先生は「そうよね、そういうのはあなたの気持ちを知ってもらいたいわよね〜」と、とにかく共感のみ。そして、
「で、気分が楽になるように、お薬処方させてもらう?」
と、サラッと薬を勧められたのです。
いやいや、そこまで病んではいないし、薬でごまかしたいわけじゃないのよ!
心の中で「ぶっちゃけ、薬を処方するかどうか以外は、日本の友達にLINEで話した方が100倍スッキリするんですけど……」と思いつつ、薬は丁重にお断りしました。先生自体はとても優しくて良い人だったのですが、なんとも言えない物足りなさが残る結果に。
「うーん、アメリカのメンタルケアってこんなもんなのかな……」
そう思っていた矢先、私の携帯に保険会社から信じられない電話がかかってきました。
「あ、お使いの病院がストライキに入りまして、担当医の診療ができなくなりました。代わりの先生を探しますか?」
ストライキ!?!?
患者のメンタルケアの最中に、病院がストライキを起こして先生が物理的に消滅する国、それがアメリカ。笑い事じゃないんだけど、不条理すぎて笑うしかありません。元監査人の私の視点から見ても、この医療システムのガバナンスはどうなってんのよ!?と突っ込まずにはいられませんでした。
災い転じて、本命の「日本語セラピスト」へ
しかし、この「ストライキ消滅事件」が、まさかの転機になります。
病院側から「言語の希望はある?」と聞かれたので、藁にもすがる思いで「日本語で!」と答えたところ、病院が外部に委託しているセラピストの団体を紹介されたのです。
そこを通じて、ようやく日本語でじっくり話せる本命の「日本人セラピスト」の先生に巡り会うことができました。そう、私が望んでいたのはセラピストだった!精神科医ではなかったのですよ。
(この先生との出会いが、のちの私の人生を大きく変える『境界線』の気づきへと繋がります)
こうして、ストライキというアメリカの洗礼を受けながらも、私はようやくスタートラインに立ったのでした。

コメント