アメリカ人との結婚 – 元妻との関係のリアル

国際結婚

私の夫ロナルド(仮名)には離婚歴があり、エミリー(仮名)という娘が1人います。 アメリカでは一般的な「共同親権」のため、エミリーは週中を元妻アンネ(仮名)の家で過ごし、週末は私たちの家へやってくるスタイル。

渡米前の私は、「国際結婚だし、アメリカの進んだワンチーム育児の洗礼もある程度は受け入れなくては」と、大人の品格を保って覚悟を決めていました。元妻アンネを含めた顔合わせの食事会にも、コンプライアンス精神を発揮して大人の笑顔で参加。ここまでは想定内、いわば「アメリカ文化の教科書通り」だったのです。

――ところが。 教科書に載っていない「アンネの奇行」と「ロナルドの迷走」という名の、バグだらけの事件簿が次々と幕を開けることになります。

事件簿1:不法占拠

現在私たちが住んでいる家は、ロナルドが前世(アンネとの婚姻中)に購入した物件。 渡米直後、新生活のために片付けを始めた私は、リビングに鎮座する巨大な本棚に目を留めました。日本から持ってきた私の愛読書を並べるスペースを作ろうと、ぎっしり詰まった本を検分していると、ある重大な事実に気づきます。

なんと、本棚の半分以上を占拠していたのは、とっくに離婚したはずの「アンネの本」だったのです。

「離婚して出ていった人間の荷物が、なぜまだ一等地に居座っているのか?」 元内部監査人の脳内にアラートが鳴り響きます。置いていったということは、すなわち所有権の放棄。 「じゃあ、これ処分するわね」と私が極めて合理的な提案をした瞬間、ロナルドが慌てて割って入りました。

「アンネのだから捨てちゃダメだ! 僕が責任を持って彼女に届けるから!」

……はあ???

離婚して何年経ってると思っているわけ? なぜ元妻の私物がいつまでも我が家のプライベート空間を不法占拠しているのか。そしてなぜ、現在の妻である私に指摘されるまで、夫はその異常事態を放置していたのか。

結局、ロナルドは日本の誇るヤ◯ト運輸さんの頑丈なダンボール丸々6箱分のアンネの書籍を、せっせと「元妻デリバリー」する羽目になったのです。 そう、これが我が家に悪名高き「元妻専用・無料ロナルド便」のロジスティクスが構築された、記念すべき第1号の事件でした。

事件簿2:蝋燭立てと、我が家の「無料トランクルーム化」

本棚を片付けた後も、私のアメリカ式断捨離は続きました。ある日、棚の奥から私の趣味とは1ミリも合致しない、怪しげな蝋燭立てを発見。 処分していいかロナルドに確認すると、彼は怯えた顔でこう言ったのです。

「アンネのだから捨てちゃダメだ。大切なやつだ」

……はあ? 大切なもの??

じゃあなぜ、そんな大切なものを離婚時に持って行かず、新妻である私の生活空間に不法投棄しているわけ? 我が家はアンネの無料トランクルームか何か? その後も、めくるめくアンネの遺物が4点ほど発掘された時点で、私の精神的キャパシティは限界を突破。棚を開けるだけで動悸がするようになり、しばらく収納恐怖症に陥りました。

事件簿3:住所変更を知らないアメリカ人

さらに、毎日のようにポストを埋め尽くす「アンネ宛」の大量の郵便物。
ロナルドは「アメリカはダイレクトメールが多いから仕方ないんだ!」と必死の弁護をしていましたが、元金融監査人の私を舐めないでいただきたい。日本と同じく、郵便局に一回「転送届」を出せば済む話なのです。

最初の半年間は、いちいち「これ捨てていい?」と確認する大人の対応をしていましたが、半年が過ぎた頃、私のコンプライアンスの刃が火を吹きました。
アメリカには、旧住人宛の郵便物に『Return to Sender(差出人に返送)』と書いてポストに入れておけば、郵便配達員が回収してくれる素晴らしいシステムがあります。
私は無言で、アンネ宛の全郵便物にこの呪文を叩きつけ、強制送還するルーティンを開始しました。

事件簿4:恐怖のオンラインショッピングと、未成年のワイン

郵便物だけならまだしも、さらに私の胃壁を穿ったのがアンネのオンラインショッピングです。
驚くべきことに、彼女は我が家の住所を「Amazonのマイお届け先」に登録し、毎日のように小包を送りつけてきたのです。もはや買い物依存症を疑うレベル。

あまりの物量に私がロナルドへガチ苦情を入れると、彼は「いや、これは大体エミリー(娘)の荷物だから……」と苦しい言い訳を繰り出しました。 ある日、イラつきが頂点に達した私が届いた小包を検閲(開封)したところ、中から出てきたのは高校生が着るはずもない、完全なる中年女性用のハイブランドのコートと靴。 極めつけは、別の日にとどいたワイン1ダース。

……ねえロナルド、エミリーって未成年よね?
法を犯してまで未成年にアルコールを密輸する親がどこにいるのよ。確信犯で新居を私書箱にする元妻と、それをせっせとデリバリーする我が夫。この夫婦のモラルハザード、監査人として看過できません。

事件簿5:平日の「元妻専用・鍵の110番」

ロナルドは在宅ワークなのですが、ある平日の昼間、アンネから緊急入電。
「車のスマートキーがバグって動かないから、あなたが持ってるスペアキーを今すぐ持ってきて!」

平日の、しかも勤務時間中に、元妻に呼び出されて嬉々として鍵を届けに行こうとする夫。 その瞬間、私の中の何かがプチッと音を立てて千切れました。 「お前は一体、誰の夫なんだ?? 離婚して数年経つのに、アンネはいつまで都合の良い便利屋(110番)として元夫を使ってんのよ! 鍵なら自分の彼氏か友達に預けとけ!」と心の中で絶叫。(まあ、彼氏はいなさそうだけど)。

事件簿6:リビングの一等地に佇む「前世の記憶」

極めつけは、リビングの飾り棚でした。 何気なく重ねて置いてあった写真フレームをめくってみたところ、なんと、ロナルドとアンネの「華麗なる結婚式の記念写真」がそのまま鎮座していたのです。

これには流石の私もフリーズしました。
ここで恐怖の伏線が回収されます。実は渡米直後、姑の梅子(なんと日本人!)はドヤ顔で私にこう言っていたのです。
「チャコさんが日本から来るから、私があらかじめ家を綺麗に掃除しておいたわよ✨」と。

……はあ? 掃除した?? 念入りに掃除をしておいて、この巨大な「前世の呪いの遺物」を見落とすはずがありません。 普通なら、まともな母親なら、「あんた、新しい奥さんが来るんだから、この写真は処分するか物置に隠しなさい!」と息子を叱り飛ばすのが人間のモラルというものです。 それをあえて、リビングの一等地に綺麗に重ねて残しておく。これは梅子による無言の心理戦(マウンティング)なのか、だとしたら、ロナルドも含めたこの一家のデリカシーは、野生のゴリラ以下――いや、ゴリラに謝りたい。彼らのほうがよっぽど高等なコミュニケーションをとる。 この親子、チャコが来るからと掃除をしてこれ(前世の遺物)を残すあたり、ホモサピエンスとしての配慮の遺伝子が丸ごと欠落しているとしか思えない。

そもそも、引っ越す時に自分の結婚写真を元夫の家に不法投棄していったアンネの神経も理解不能です。欲しけりゃ持って行け、いらないなら捨てろ。なぜ新妻の私が、お前たちの前世のゴミの分別をさせられなきゃいけないのよ。

さすがに私が無言で写真を突きつけた時、ロナルドも生命の危機(チャコのキルスイッチ)を察したのか、ギョッとした顔をして、その場ですぐにゴミ箱行き(デリート)となりましたが、私の心に刻まれたダメージは甚大でした。

🌋 渡米6ヶ月目の大爆発、そしてチャコの決断

これだけの「異常」が重なり、渡米6ヶ月目にして、ついに私のアラートが全館鳴り響き、大爆発しました。
アメリカに身寄りのない私は、怒りのままにプチ家出を決行。行く当てもなくロサンゼルスの街をウロウロ彷徨いながら、時差を越えて日本の友人に国際電話でぶちまけ、話を聞いてもらってどうにか理性を繋ぎ止め、夜に家へ戻りました。

アメリカでは、離婚後も元夫婦が家族ぐるみでクリスマスを過ごしたり、親睦会を開いたりするのが「素晴らしい文化」として語られることがあります。

――だが、そんなこと知るか!!!!😤

郷に入っては郷に従え? アメリカの広い心を受け入れろ?
お断りです。私の大切な人生と、元監査人としてのプライドを、これ以上こいつらの奇行で汚されてたまるものですか。
最低限の義務(エミリーの送迎など)はこなすけれど、アンネとの境界線(バウンダリー)は1ミリの隙もなく完全閉鎖する。

アメリカで生き抜くために一番大切なのは、文化に染まることじゃない。 理不尽な奴らに合わせず、自分の心と尊厳を、何が何でも守り抜くことよ!

(次回、ラスボス姑・梅子の襲来編へ続く……!)

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